小規模のコーヒー生産者に経済的保障を提供
気候変動によりコーヒー生産地は逼迫しています。小規模のコーヒー生産者は、農作物に影響する不順な気象条件のリスクにさらされています。
ネスレは国際コーヒーの日（10月1日）に際して、「ネスカフェ」ブランドにコーヒーを納入する800以上の小規模生産者を対象にインドネシアで気象保険プログラムを試験的に開始することを発表しました。ネスレは、気象保険を専門とするブルー・マーブル社と共同でこの保険制度を開始します。この保険は、生産者が降雨や厳しい干ばつといった予測不可能な気象パターンに対応できるように、経済的保障を提供します。
ネスレS.A. グリーンコーヒー開発グローバル責任者であるMarcelo Burityは、「この気象保険は、インドネシアの小規模コーヒー生産者を支援するメカニズムの確立に役立ちます。これによりコーヒー農園のレジリエンスを高めながら、天候不順に見舞われた際に農作物を回復する資金を得ることができます。」と述べています。
この保険は、衛星を利用した気候データを活用して、作物のサイクルにおける重要な時期に、過多や過少な降雨量でコーヒー生産量に影響が出た時期を判断します。登録するコーヒー生産者が被害を受けると、気象の深刻度に応じて自動的に保険金が支払われます。
ブルー・マーブル社 CEO Jaime de Piniés氏は、「インドネシアの小規模コーヒー生産者は気候変動リスクに脆弱であり、異常気象から身を守るために保険利用を必要としています。ネスレ、そしてそのブランドである『ネスカフェ』と提携して、小規模コーヒー生産者やその家族の気候変動への適応を支援する、革新的な方法を生み出すことを私たちは誇りに思っています。」と述べています。
これは「ネスカフェ プラン2030」の一環となる重要な取り組みです。「ネスカフェ プラン2030」はコーヒーの長期的な持続可能性を支援し、生産者の生活向上を支援するブランドのビジョンです。ネスレは、この試験的な取り組みの結果に基づき、このアプローチを世界中の「ネスカフェ」の他の調達拠点に拡大するかを決定する予定です。
再生農業への移行を加速するための知識の共有
農法を変えるためには、知識を得て学び実行する時間が必要です。再生農業に移行することにより、コーヒー生産者は土壌の健全性を取り戻し、生物多様性の損失を回復し、生態系を強化することができます。これは大気中に放出される温室効果ガスの削減にもつながります。
ネスレは、バイオバーシティ・インターナショナル、国際熱帯農業センター（CIAT）の研究アライアンスが開発した「Regenerative Agriculture for Low-Carbon and Resilient Coffee Farms - A Practical Guidebook（低炭素でレジリエントなコーヒー農園のための再生農業-実践ガイドブック）」に協力しました。このガイドブックは、コーヒー生産者と協働するフィールド農学者、トレーナー、専門家に対して、さまざまな農業の状況に応じて活用できる一連のベストプラクティスを提供し、生産者の再生農業への移行を支援します。これらのベストプラクティスには、アグロフォレストリー、間作、土壌保全とカバークロップ(被覆作物)、総合的な雑草・害虫管理、総合的な栄養管理、効率的な水利用、廃棄物の価値化、ランドスケープ活動、適した品種によるコーヒーの木の再生などが含まれています。
ネスレS.A. 持続可能な農業開発グローバル責任者 Pascal Chapotは、「このガイドブックでは、コーヒー生産者が気候変動に対してレジリエントとなり、また収入源を多様化するために、明日から実行できる一連の現場での活動が示されています。知識は重要です。このガイドブックによって、生産者にとって再生農業をさらに身近なものにし、移行が加速することを私たちは期待しています。これは、今後の気候変動問題への取り組みにおいて不可欠なものです。」と述べています。
シニア土壌生態学者であり、ガイドブックの共著者であるMirjam Pullema氏は、「現場で真のインパクトを生み出すには、さまざまな原産地で生産者の実際の経験から学び、生産者の取り組みを支援するインセンティブを提供することが必要です。ガイドブックで取り上げたベストプラクティスは出発点にすぎません。それぞれの実践については、原産国の特質、さまざまな農園のタイプ、周囲のランドスケープ、利用できるリソースに合わせて調整する必要があります。」と述べています。
このガイドブックは、ネスレの、『Nestlé Regenerative Agriculture Framework（ネスレ再生農業フレームワーク）(pdf, 18Mb)』を補完するものです。ネスレは再生農業を温室効果ガス排出量削減、ならびに温室効果ガス実質ゼロを2050年までに達成するという取り組みにおける重要な要素だと考えています。これはコーヒーの持続可能プログラムである「ネスカフェ プラン2030」と「ネスプレッソAAAサステイナブル・クオリティ™プログラム」の重要な柱でもあります。